彩・きもの通信

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彩の歳時記 令和2年1月

2020.02.17

「初春の令月(れいげつ)にして
気淑(きよ)く風和らぎ 、梅は鏡前(きょうぜん)の粉を披(ひら)き  蘭は珮後(はいご)の香(か)を薫(かを)らす 」

天平二年(730)年正月、大宰府の筑紫歌壇の重鎮「大伴旅人」宅での 新春「梅の宴」で詠まれた三十二首の序文。新年号『令和』の由来。 旧暦新春はちょうど梅が見ごろ。大宰府(福岡)は大陸にも近く、文化的 で気候も温暖で梅は初春を華やかに飾る花。万葉集編纂期の八世紀頃は 中国から伝わった時期で、初期万葉集の花として、桜でなく「梅」が多く詠まれました。 主要歌人・大伴旅人【665~731】は、高官位の大納言ですが酒を讃(ほ)むるの歌・十三首詠んでおり、酒をこよなく愛した人物。令和初の正月、日本のお酒に杯を傾けながら、梅(初花)の蕾のふくらみに新しい年への期待を寄せたいものです。

1月の暦 ― 睦月(むつき)

親族・知人が集まり、親睦しんぼくをはかる月。

1日 元日 国民の祝日

「元旦」の「旦」の下線は地平線・日は昇る太陽。初日の出を拝し、
門松で年神様を迎え、若水を汲んで供え、雑煮やおせちを食べ、初詣をする。
新年祝賀の儀 天皇皇后両陛下・皇族の方々が、三権の長、在日大使とその配偶者から新年の祝賀を受けられる儀式。

2日 皇居一般参賀

宮殿東庭にて天皇皇后両陛下・皇族方が,国民から祝賀を受けられる。
第96回箱根駅伝(2日・3日)大手町から箱根までの往路5 区間、復路5区間の 217.9 217.9㎞で争われる。昨年の1 ・2 ・ 3 位は東海・青山学院・東洋大学。今年は六日 官公庁御用始め 1873(明治6) 年から、法律で定められた官公庁での新年最初の事務を行う日。

6日 小寒しょうかん【二十四節気】

節分までを「寒かん」といい、この日は「寒の入り」、『節分』までが『寒の内』

7日 七草(ななくさ)

七草粥は邪気を払う七種の菜を食していた中国の「七日正月」に由来。 春の七草( 芹・なずな・御形( ごぎょう) ・ はこべら・仏の座・すずな・すずしろ) が 入った粥を食べ、一年の息災を願う。日本では平安時代に始まり江戸時代に定着。
君がため春の野に出でて若菜摘む わが衣手に雪は降りつつ   光孝天皇

7日 松納め

門松や注連( しめ) 飾りを取り払う。松払い・松送り(関西は一月十五日に行うところも)

11日 鏡開き

年神様や仏に供えた鏡餅を下げ、食す。切るは切腹を連想させるので 木槌などで割り「切る」「割る」の言葉を避け「開く」という。

13日 歌会始

今年のお題は「望」。お題は天皇陛下が 決められる。両陛下の御前で一般の詠進歌
選者の歌,皇族の御歌,皇后陛下の御歌,最後に御製が披露される。国民参加の文化行事。

13日 成人の日

振袖は未婚女性の礼装で『万葉集』に、愛する人に向けて袖を振る歌が数多くある。
振る行為は厄払いや神のご加護で安寧を祈願する意味 も。華やか振袖姿は、正月の風物詩。

17日 阪神淡路大震災の日

1995 年のこの日、死者約6300 人、30万人以上が被災。
「防災とボランティアの日」として制定。神戸市で「1.17 のつどい」を開催。

20日 大寒(だいかん) 【二十四節気】

一年中で最も寒い時。「 寒仕込み 」
(凍り豆腐、酒、味噌など)を仕込む時期。

1月の歌  「男はつらいよ

詞:星野哲郎  曲:山本直純
お正月映画と言えば、1969 年に第一作が封切られた「男はつらいよ」
今年で50 年。2019 年12 月27 日に『男はつらいよ お帰り 寅さん』が 全国でロードショー。主題歌の歌唱を今年40 周年を迎えた「サザンオール スターズ」の桑田佳祐が担当。監督・山田洋次は、桑田と渥美清は「心情において深く重なっているのでは」と前から思っていて依頼したと語る。
寅さんの啖呵「それを言っちゃおしまいよ」は乱暴だけど、一線を越えず聞くに堪えない「ヘイトスピーチ」を否定しているように感じます。

俺がいたんじゃお嫁にゃ行けぬ わかっちゃいるんだ 妹よ
いつかおまえのよろこぶような 偉い兄貴になりたくて
奮闘努力の甲斐も無く 今日も涙の今日も 涙の日が落ちる日が落ちる

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