彩・きもの通信

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彩の歳時記 令和6年3月

2024.03.01

花の色は 移りにけりな いたずらに わが身世にふる ながめせしまに

「花の色は色あせてしまった。春の長雨(眺め)が降って、
私が世の中や恋などの物思いにふけってる間に。」

小野小町【825?-900?】


色あせた花の美しさを衰えた自分の姿に擬え詠んだ、世界三大美女の一人といわれた小野小町【825?-900?】の歌。小町美女の代名詞とされ、生誕地も未詳ですが、伝承の地・墓・ゆかりの場所も全国に点在。謎多き女性の為か、小町にまつわる話は多種多様。女性で唯一、六歌仙に選ばれるほどの歌の才能を持ちながら、美貌や恋にまつわる伝説が多く、謡曲・歌舞伎の題材に。

小町は、平安中期に近江滋賀郡小野村を本拠とした小野氏で、祖先に遣隋使・小野妹子を始め、小野篁・小野道風などがいます。古典では花といえば「桜」、衰えても幹はしっかり根付き、再び、美しい花を咲かせます。枯れる事を憂うるばかりでなく、蘇る花を思いたいものです。

月の暦

弥生(やよい)

弥は「いよいよ・ますます」の意。植物がますます生まれる月。


3日 桃の節句(上巳の節句・ひな祭り)  

中国伝来の五節句の一つ。上巳(じょうし)は3月上旬の巳(み)の日。紙の雛人形に自分自身の災厄をうつし、川や海に流して清める「流し雛」と平安以前の貴族の子女が天皇の御殿や装飾を模した遊びが融合したもの。桃の花の季節。



5日 啓蟄(けいちつ)【二十四節気】

冬の間、地中にいた虫が這い出てくる。巣籠もりの虫戸を開く(七十二候)



8日 国際女性デー

国際的な婦人解放の記念日。国際デーの一つ。1910年に制定。

8日 ミモザの日

春を告げる2~3月に花を咲かせる「ミモザ」は「幸せの花」とされ、シンボル花に。

10日 東京都平和の日・東京大空襲記念日

昭和20年(1945)の空襲により、死者約10万人、焼失家屋約27万戸、第二次大戦で最大の被害。都民が平和について考える日。1990年制定都立横網公園に花壇の記念碑、内部に犠牲者の名簿を納められている。


11日 東日本大震災発災の日

平成23年(2011)、(Mw)9.0日本観測史上最大の地震発生。津波により東北〜関東北部の太平洋沿岸部に壊滅的な被害。死者・行方不明者19000人以上。建物の全半壊38万戸以上。引き金となった福島の原子力発電所のメルトダウンは甚大な環境破壊をもたらした。


12日 東大寺二月堂お水取り

若狭(わかさ)からの水を本尊に供える。夜、鐘の合図で(かご)松明(たいまつ)を手に僧達が回廊を駆け抜け、その火の子を浴びると除災になると多くの観衆で賑う。


 

14 ホワイトデー

1978年にバレンタインのアンサーデーとして制定。砂糖の白に由来。


17日 彼岸(17-23日)の入り

太陽が真東から昇り真西に沈むのが、春分と秋分。彼岸(あの世)此岸(この世)がもっとも通じ易くなると信じられ。墓参(先祖供養)をするようになった。


20日 春分の日二十四節気

春彼岸の中日。昼夜の長さがほぼ等しい。

29日 風信子(ヒヤシンス)忌

詩人・建築家、立原道造【1914~1939】の忌日。ギリシャ神話の「ヒアシンス伝説」に心を寄せた事に因る。約150年続く東大建築科の優秀卒業制作対象の辰野金吾賞を三年連続受賞する学生で一歳下の後輩に丹下健三【1913-2002】がいる。詩でも「中原中也賞」受賞など叙情溢れる美しい詩は今も人気が高い。浦和の別所沼畔の風信子ハウスは、彼の構想を有志等が計画し、2004年竣工、一般公開されている。


3月の歌 春先小紅 - 1981年

詞 糸井重里【1948-】
曲・歌唱 矢野顕子【1955-】

明治時代に流行した俗謡『しょんがえ節』が元の江戸端唄(はうた)。花柳界の芸妓を花や貝に例えている。唄の合間の「しょんがえな」は「しょうがないな」ではなく「ああそうかいなそれからどうした」という軽い合いの手でお囃子を入れる。歌詞の「梅・桜・柳・山吹」は芸妓達の暗示で、は若い芸妓、は上の姐さん、は移り気、山吹(ヤマブキ)は実を結ばない浮気性。実をつけない花・山吹を詠んだ歌に「七重八重 花は咲けども 山吹の実の一つだに なきぞ悲しき」 兼明親王立川談志の落語『太田道灌』でも有名。「梅は咲いたか」は立川志の輔の「出囃子」。

ホラ 春咲小紅
ミニミニ見に来てね
わたしのココロ ふわふわ舞い上がる
いつ咲くかしらと待ちぼうけ
指折り数えていたかしら
お返事出します 微笑みの
どこかのポチっと 赤い色 私に逢えばわかります
自分で言うのもヘンだけど 今日はなんだかキレイです


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