彩・きもの通信

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彩の歳時記 令和6年9月

2024.09.01

散れば咲き 咲けば散りして 百日紅

加賀千代女【1703-1775】

「同じ花が百日間も咲き続けるのではなく、一度花が終わった枝先に新たな花が咲き、それが続く」


炎暑の中、赤く燃えるような真夏の日差しにが映え、猿が足を滑らせるようなすべすべとした木肌に、初夏から秋まで咲き続ける百日紅千代女と言えば「朝顔につるべとられてもらい水」で有名、芭蕉の弟子・各務支考(かがみしこう)に師事した江戸期の俳人で加賀「石川県松任(白山)」の人。文学や美術で女性の名を見るのは、紫式部清少納言以来久しく、まして絵画も言わずもがなの中、俳諧の千代女と並び、名を見るのは、杉浦日向子の漫画『百日紅』に描かれた葛飾北斎の娘で浮世絵師の葛飾応為【1791?-1857?】くらいです。活躍の場が無かった時代、足跡を残した女性達を記憶に留めたいもの。

月の暦

長月(ながつき) 秋の夜長から夜長月 長い時間、月が見られる。

1日 防災の日 

関東大震災(1923年9月1日)を教訓とし、防災意識を高めるために1960年に制定。M7.9。家屋の全半壊25万戸以上、死傷者・行方不明者24万人以上という甚大な被害。



1日~3日 (かぜ)(ぼん) 

二百十日前後の台風到来時節に収穫時の稲穂が風害に遭わないよう

風の神様を鎮め豊作を祈る富山県八尾市のロマンチックな祭。越中おわら節の哀切に満ちた旋律にのって日本の道百選「石畳の坂道」を無言で踊り歩く躍り手とエンナカ(用水)の水音が風情をさそう。高橋治の小説『風の盆恋歌』で全国的に。
無月(なつき)(うづき)


7日 白露(はくろ)【二十四節気】

朝晩の気温が下がり、朝く草の葉に光るというが、近年の熱帯化で露は?



9日 重陽(ちょうよう)節句(せっく)

五節句の一つ。奇数(陽)の極・九が重なることからめでたい日とされた。平安初期からの宮中行事で観菊の宴。酒に菊の花を浮かべ飲み邪気を払い長寿を願った。

「菊の花 若ゆばかりに袖ふれて花のあるじに 千代はゆづらむ」  紫式部


16日 敬老の日[国民の祝日】

元は十五日の[老人の日]2007年に超高齢社会「高齢率20%以上」に。2024年、高齢率30.1%世界二位。平均寿命は男性が82歳、女性が87歳で世界一の長寿国。



17日 十五夜


一年で最も空が澄み、月が満ち美しく見える夜。月見は平安時代に中国伝来の宮廷行事。江戸時代には庶民の収穫祭の意味合いが強くなり豊作や息災を感謝する日に。

19日 秋の彼岸の入り

この日を含めた七日間が彼岸〔19日-25日〕の期間。


 

19日 子規忌,糸瓜忌 

俳人、歌人、国語学研究家・正岡子規【1867~1902】の忌日。辞世の「糸瓜咲て 痰のつまりし佛かな」に因る。弟子に『吾輩は猫である』の掲載誌『ホトトギス』の主幹・高浜虚子や河東碧梧桐・伊藤左千夫等。台東区 根岸に晩年の住居「子規庵」。田端の大龍寺に墓。生誕地・愛媛松山子規記念博物館。野球を愛した事から、道後温泉に野球姿の正岡子規像、上野公園の子規記念野球場脇に句碑。野球術語「打者、走者、 直球、死球」の日本語訳も多い。

「春風や まりを投げたき 草の原」

22日 秋分(しゅうぶん)の日【二十四節気】

国民の祝日。お彼岸の中日。昼と夜の長さがほぼ等しく。



風の盆恋歌

詞 なかにし礼【1938-2020】
曲 三木たかし【1945-2009】


高橋治【1929-2015】の恋愛小説とそれを原作にしたテレビドラマ・舞台・漫画のモチーフに書かれた曲。歌唱の石川さゆり【1958-】はこの曲で1989年の第31回レコード大賞最優秀歌唱賞受賞。第40回紅白歌合戦で初の紅白大トリを務めた。

富山県八尾の人口は2500人にも満たない小さな町で11の支部が公民館に集まり毎晩のように自主稽古を重ねる。誰かに見せるためではなく踊りを楽しむという。そのため風の盆の期間中も、すべての町が一堂に会して踊るのではなく一部の町流し・演舞場以外は、いつどこで踊りがはじまるのかわからない。

蚊帳の中から花を見る
咲いてはかない酔芙容..
 若い日の美しい私を
抱いてほしかった
忍び合う恋 風の盆


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