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「荻の葉に吹く秋風の音にも変化がみられ、やがて野分がその露を砕いてしまうのだ」。
藤原定家【1162~1241】
野分は野の草を分けるほどに吹く秋の暴風で台風の古名、立春から210日、220日の稲が開花する大事な時期に吹き、農家の三大厄日の一つ。収穫前の稲が被害に遭わないよう豊作を祈願して全国で風祭が行われます。「野分」は古典にも多く採り上げられ『源氏物語』二十八巻や 『枕草子』の第二百段の冒頭では「野分のまたの日こそ、いみじう あはれにをかしけれ」(台風の翌日というのは大変にしみじみと趣深い)」と描かれています。今も昔と変わらず自然災害に心砕かれる頃、気を抜かず暮らしてゆきたいものです。
長月
夜(よ)長月(ながつき)・長雨月の略。あしびきの山鳥の尾のしだり尾の長々し夜をひとりかも寝む
百年前の1923年(大正12年)のM7.9関東大震災(死者・行方不明20万人以上、被災家屋60万戸)を教訓として1960年に制定。2011年3月の東日本大震災は88年後の事。
嵐が多く襲来する時期。夏目漱石の『野分』は1899年9月1日、二百十日に友人と阿蘇に登山を試みたが嵐に遭い断念した経験を会話体形式で書いた小説。
哀愁を帯びた三味線と胡弓、太鼓の音色と唄に合わせて踊り手達が踊りながら歩く情景は三百年余り継承される豊かで気品高い趣を有している。毎年25万人前後の見物客で賑わいを見せる。1986年刊行の小説『風の盆恋歌』高橋治【1929~2015】原作は、テレビドラマ・舞台・漫画作品のモチーフに。なかにし礼作詞、石川さゆり歌唱のシングル曲。
夜中に大気が冷え、草木に朝露が宿りはじめ露は白い粒のよう光って見える。
白露に風の吹きしく秋の野は つらぬき留めぬ玉ぞ散りける
文屋朝康 【百人一首】
五節供の一。奇数は陽の極数である九が重なることから「重陽」はとてもめでたい日とされ、邪気を払い長寿を願い、菊の花を飾り、酒を酌み交わして祝った。 中国伝来の行事で奈良時代に伝来、平安時代に年中行事に。
日本は平均寿命が世界最長で、84歳弱〔男82歳 女88歳〕。百歳以上の人口は今年10万人を超えるという。1967年に「敬老の日」2003年から第3月曜日に。
没後90年を迎える宮沢賢治【1896~1933】 の忌日。仏教信仰と農民生活に根ざした詩人・童話作家。作品中の架空の理想郷に郷里の岩手をモチーフとしてイーハトーヴと名付けた。没後に発見されたメモで詩とされている「雨ニモマケズ風ニモマケズ」より始まり、「サウイフモノニ/ワタシハナリタイ」で終わる漢字交じりカタカナ書き 対句表現が用いられ、最後まで主語(私)が明かされない。多く人口に膾炙している。
秋彼岸(20日~25日)の中日。「彼岸」とは現世と来世の境を川に例え、現世を此岸(しがん)来世を「彼岸」と呼ぶ。
「中秋の名月」。秋の真ん中に出る満月の日。団子や芒(すすき)里芋などを供える芋名月。中国伝来の風習。
名月や池をめぐりて夜もすがら 芭蕉
名月をとってくれろと泣く子かな 一茶
9月の歌 『夏の終りのハーモニー』
詞 井上陽水【1948~】
曲 玉置浩二【1958~】
夏が終わり、秋に移り変わる前、その静けさの中で聴きたくなる曲。1986年、井上陽水とロックバンド安全地帯とのコラボ・シングル。神宮球場で井上と安全地帯のジョイント・コンサートにて初披露された。「珠玉のミディアムバラードで井上と玉置の異なるタイプの歌手が情感豊かで憂いのある歌声を重ねると得も言われぬ感動が生まれてくる」と称された。井上の歌詞と玉置のメロディーおよび両者によるハーモニーが絶妙で「まさに天才二人の邂逅」と評された。
今日のささやきと
昨日の争う声が
二人だけの恋のハーモニー
夢もあこがれも
どこか違ってるけど
それが僕と君のハーモニー
夜空を たださまようだけ
誰よりもあなたが好きだから
素敵な夢 あこがれを
いつまでも ずっと 忘れずに
後 略
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