
夏は浴衣や着物を楽しむ機会が増える季節です。一方で、暑さが気になり、我慢して袖を通したり、着るのをあきらめてしまったりする方も多いのではないでしょうか。
実は、夏の着物の暑さは無理に耐える必要はなく、選ぶ素材や着付けの工夫、冷却アイテムの使い方によって大きく快適さを変えられます。
本記事では、着物が暑く感じる理由や通気性の良い素材選び、涼しく着るための着付けのポイント、外出時に役立つ暑さ対策グッズを解説します。
ここでは、夏の着物が暑いと感じる原因と基本の対策について解説します。
着物は長襦袢や肌着を重ねて着るため、熱がこもりやすくなります。特に日本の夏は高温多湿で汗をかいても蒸発しにくく、体の熱が外に逃げにくい状態になりがちです。
また、着物は洋服のように上着を脱いで体温を調整できないため、気温が高い日には実際の気温以上に暑く感じることがあります。
着物の暑さ対策では、「通気・吸湿・冷却」の3つを意識しながら、着物の内側に熱をため込まない工夫をすることが大切です。
例えば、絽や紗など通気性に優れた素材を選び、長襦袢や肌着には麻や吸湿性の高いクール素材を取り入れると良いです。着付けの際は補正を必要最低限に抑え、体との密着を減らすと風通しが良くなります。冷却アイテムとしては、扇子やミニ保冷剤、制汗剤を活用すると暑さによる不快感を軽減できます。
ここでは、夏着物におすすめの素材と選び方について解説します。
夏着物の代表的な素材である絽・紗・麻には、それぞれ異なる特徴があります。
| 素材 | 特徴 | 他素材との違い |
| 絽 | 隙間のある織り方による適度な透け感と上品な印象が特徴 | 紗より透け感が控えめで、フォーマルな場面にも着用しやすい |
| 紗 | 透け感が強く、見た目にも涼しげな素材が特徴 | 絽より軽やかで涼感があり、盛夏に適している |
| 麻 | シャリ感のある肌触りと高い吸湿性・速乾性が特徴 | 絽や紗より実用性が高く、カジュアルなシーンに向いている |
ポリエステル着物は暑いと思われがちですが、吸水速乾機能を備えた素材も増えており、以前より快適に着られるようになっています。
また、機能性だけでなく、洗濯機で洗えてシワになりにくいこともポリエステル着物ならではのメリットです。一方で、通気性や吸湿性は天然素材に及ばない場合があるため、夏用として選ぶ際は着心地を確認しておくと安心です。
体感温度は、長襦袢や肌着の素材によって変わります。例えば、長襦袢は通気性に優れた麻や絽素材、肌着は吸湿速乾性の高いポリエステルやキュプラを選ぶと、蒸れを軽減して体感温度を抑えやすくなります。ただし、ポリエステルの中には通気性が低いものもあるため、夏用として販売されている肌着を選ぶと良いでしょう。
ここでは、着物の暑さ対策になる着付けの工夫について解説します。
衣紋をしっかり抜いて衿元にゆとりを持たせると、首筋から背中へ風を通せます。腰紐や伊達締めは締めすぎると血行が悪くなり体温が上がるため、着崩れしない程度でゆるめに整えましょう。補正も背中や脇は控えめにして風通しを確保すると、着物の中の空気が循環します。
補正は体と着物の間に熱をこもらせる原因になるため、夏は必要最低限に抑えると良いです。補正が必要な場合も、胸元のシワを防ぐ薄手のタオル一枚程度を目安に、体型に合わせた箇所だけに絞りましょう。また、素材にもこだわりメッシュや麻など通気性の良いものを選ぶと、より涼しさを確保できます。
帯は体に二重以上に巻くため、種類や結び方によって暑さを調整できます。
例えば、芯なしの絽や紗の夏帯は通気性が高く、帯周りに熱がこもりにくいです。結び方は半幅帯や兵児帯を使ったシンプルなものにすると、締め付けが軽減されて比較的涼しく過ごせます。
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ここでは、着物の汗対策について解説します。
脇は汗が集中しやすく着物に汗ジミが出やすい部分のため、汗取りパッドや吸汗速乾素材のインナーの活用がおすすめです。
脇・背中・衿元など汗をかきやすい部分に対応した和装専用インナーは汗を吸収・発散するため、肌のべたつきや蒸れによる不快感を抑えられます。また、汗取りパッドを使用すれば脇汗を直接吸収でき、着物への汗ジミ予防として役立ちます。
着物の汗ジミを防ぐためには、麻や綿などの吸湿性・通気性に優れた下着・肌着を選ぶと良いです。
麻は通気性・速乾性に優れていて、汗をかいてもさらりとした状態を保ちやすいです。綿は吸湿性が高く、皮脂が直接着物に触れるのを防いでくれます。また、汗による股ずれ対策としては、ステテコを取り入れると摩擦がなくなり快適に過ごせます。
着用後は風通しのよい場所で陰干しし、湿気を飛ばしましょう。汗汚れが気になる部分は、ぬるま湯で固く絞ったタオルで軽くたたくようにすると汚れが残りにくくなります。
汗は時間が経つと黄変し、通常のクリーニングでは落ちなくなるため、汚れがひどい場合は早めに専門店で汗抜きを依頼すると良いです。
ここでは、保冷剤・冷えピタ(冷却ジェルシート)を使った着物の暑さ対策について解説します。
保冷剤は周囲の熱を吸収する力が大きいため、当てた部分の熱をしっかり奪えます。特に脇の下(身八口の内側)は太い血管が通っているので、ここを冷やすと効率よくほてりを和らげられます。あわせて、背中・わき腹・帯まわりなど熱がこもりやすい胴まわりに保冷剤を当てると、胴回りの暑さを和らげられます。補正パッドの内側に仕込めば、外から見えずに使えて便利です。
ただし、直接肌に当てると低温やけどの恐れがあるため、必ずタオルやガーゼで包んで使いましょう。また、結露の水滴で着物が濡れるとシミの原因になるため、表面の水気にも注意が必要です。
冷えピタは着付け前に、首・背中・脇の3か所に貼ると、汗をかきやすい部分の肌がひんやりして快適に過ごせます。首は衿で隠れる位置で首筋に沿わせ、背中は帯で隠れる位置に横向き、脇は縦向きで少し下側に貼りましょう。
ただし、冷えピタは貼った部分の皮膚表面が局所的にひんやりするだけで、体温そのものを下げる働きはありません。あくまで涼感を得るためのアイテムと考え、体の熱をしっかり冷ましたいときは、前述の保冷剤を併用すると安心です。
冷却グッズは見えないように使うのが基本マナーです。冷えピタは厚みがあるため、帯や着物の外側から膨らみが目立たない位置で調整しましょう。制汗スプレーやハッカ油は変色リスクがあるため、水分や油分が付着しないよう注意が必要です。
見た目を重視したい場合は、扇子や日傘などのアイテムと組み合わせることで、和装らしさを保ちながら涼しく過ごせます。
ここでは、着物での熱中症対策について解説します。
着物は、体温調整が難しく熱がこもりやすいため熱中症リスクが高まります。特に真夏の野外イベントでは、日差しや人混みの影響も重なり、自覚のないまま体温が上昇することもあります。体調の変化も分かりづらくなるため、こまめな水分補給や涼しい場所での休憩を意識することが大切です。
着物着用中は、1時間程度を目安に休憩とあわせて水分補給を行うと良いです。水分補給の際は、水だけでは塩分バランスが崩れやすいため、スポーツドリンクを飲んだり塩分タブレットを取り入れたりしてミネラルも補うように意識しましょう。
ここでは、外出時に役立つ着物の暑さ対策グッズについて解説します。
着物での暑さ対策では、扇子・日傘・冷却タオルを使い分けることで、より快適に過ごせるようになります。
| アイテム | 役割 | 使い分けのポイント |
| 扇子 | 風を送って涼感を得る | 袖口や衿元に風を入れて体感温度を下げる |
| 日傘 | 直射日光を遮る | 日差しを防ぎ、体への熱の蓄積を抑える |
| 冷却タオル・手ぬぐい | 直接冷やす・補助的な冷却 | 首筋や手首に当てる、保冷剤を包んで使う |
携帯用のミストスプレーや衣類用冷感スプレーを使うと、外出中でも手軽に涼しさを感じられます。制汗スプレーやロールオンタイプは出かける前に使用すれば、汗の出方を抑えて暑い日でも過ごしやすくなります。
ミストを使用する際は、水分が着物に直接かかるとシミの原因になることがあるため、露出した肌にだけ吹きかけ、着物地にかからないよう注意しましょう。
外出時は、扇子・保冷剤・制汗シート・スポーツドリンクを基本セットとしてバッグに入れておきましょう。小型のハンディファンも袖口・帯周りへの送風に活用でき、暑さ対策として役立ちます。浴衣のバッグは容量が限られることが多いですが、コンパクトな冷却グッズも多数販売されているため、必要なものを無理なく持ち歩くことができます。

ここでは、年代別・体質別で変わる着物の暑さ対策について解説します。
汗っかきの方は、洗える麻や木綿の着物を選ぶことが大切です。肌着は綿楊柳や麻など、汗を素早く吸って肌に張り付きにくい素材を選ぶと涼しさを感じやすくなります。
また、脇・背中・衿元は特に汗ジミが出やすいため、制汗剤や冷却シートを事前に使っておくと汗による不快感を抑えられます。
冷え性の方や暑さに弱い方は、補正を最小限にとどめ、着付け小物もメッシュ素材を選ぶことで熱のこもりを抑えられます。
着付けのポイントとしては、衿元に少しゆとりを持たせたり、衣紋を多めに抜いたりすると首から背中にかけて風通しが良くなり体温調整がしやすくなります。さらに体感温度を下げたい場合は、アイスノンや保冷剤を身八口や補正パッドに入れることで、体のほてりをやわらげられます。
代謝の高い若い世代は発汗量が多くなりやすいため、吸湿速乾素材のインナーや洗える着物を積極的に取り入れると良いです。一方、加齢とともに汗をかく力や皮膚から熱を逃がす働きが低下すると、体内に熱がこもって体温が上がりやすくなるため、通気性の良い素材を選んだり、補正を軽めにしたりと熱を逃がしやすい着付けを意識することが大切です。
また、もともと体温が低い方は冷えを感じやすく、外気との温度差でも疲れがちなため、必要に応じて羽織で調整できるようにしておくと無理なく快適に過ごせます。
着物の暑さ対策は、「素材選び」「着付けの工夫」「冷却アイテムの活用」という3つのポイントを組み合わせることで大きく快適さが変わります。
通気性や吸湿性に優れた素材を選び、補正や重ね着を調整して熱をため込まない工夫をすることで、夏でも涼しく着こなすことができます。また、扇子や保冷剤などの冷却グッズも活用し体温の上昇を抑えれば、真夏の着物のお出かけでも暑さを和らげるでしょう。
体質や年齢によっても最適な暑さ対策は異なるため、自分に合った方法を取り入れながら夏の暑い日の着物を楽しんでみてください。
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