彩・きもの通信

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彩の歳時記 令和7年2月

2025.02.01

春たてば 花とや見らむ白雪の かかれる枝に鶯の鳴く

素性法師【844-910】 古今集

春になったので、梅の花と見るのであろうか。白雪の降りかかっている枝に鶯が鳴いていることよ」「ホーホケキョ」とさえずる日本三鳴鳥の一つ「鶯」、古くは「ウー、グイス」と聴いていたことに由来。台東区鶯谷は、元禄期に京都の公家・公弁法親王【1669-1716】が「江戸の鶯は訛っている」と尾形乾山に命じ、京都から3500羽を取り寄せ放鳥し以後、鳴き声が良くなり名所に。鳴き声に擬え、ウグイス嬢(女性アナウンサーの俗称で主に野球場や選挙のアナウンス)、鶯廊下(歩くと鶯の鳴き声のような音がする)「川越の喜多院・京都の二条城」などがあります。春告鳥の異名を持つ鶯(準絶滅危惧鳥)の声を聞きに都会を離れ、少し足を伸ばし、自然の中で耳から春の空気を喫して見るのも趣深い物です。

月の暦

如月(きさらぎ)
(き)物を(さら)に重ねて(き)「衣(き)更(さら)着(き)」に由来。陽気が更に来る(き)更来(さらぎ)とも。

2日 節分  

立春の前日、ける日。池上本門寺(大田区)には有名人の歳男(としおとこ)歳女(としおんな)成田山新勝寺では、力士、NHK大河ドラマ(べらぼう)の出演者が登場、豆を撒く。

2日 のりまきの日  

1987(昭和62年)海苔業者が制定。恵方(今年は西南西)を向いて口をきかず一気に巻き寿司を食べると幸福になれるという言伝えに因る。



3日 立春(りっしゅん)【二十四節気】

春立つ日。昔はこの日が正月一日。以降初めて吹く南風を「春一番」と呼ぶ。禅寺のお札「立春大吉」とは春先に自然と花が開くように天地自然の正しい神気をいただき、万民に福をもたらすという縁起物。玄関や部屋に貼ると一年間の運勢を高めると。

3日 梅まつり

「梅に鶯」に因み、天神・天満宮で催される。著名な名所は、湯島・亀戸天神小石川後楽園(水戸藩上屋敷)、羽根木公園・三名園の一つ水戸の偕楽園など。



11日 建国記念日

1966年(昭和41年)国民の祝日に「建国記念日」ではなく「記念の日」なのは建国された日⦅神武天皇即位の日⦆とは関係がないという考えによる。


無月(なつき)(うづき)

14日 バレンタインデー

キリスト教圏の愛の祝日.だが、イベントが少ない二月の雰囲気を盛り上げる行事として、この日にチョコレートを贈る習慣が日本独自に展開。



15日 西行忌

願はくは 花の下にて春死なむ その如月の 望月のころ

仏教徒の憧れの忌日「釈迦入滅の日」前後に没した武士・僧侶・歌人の西行【1118-1190】の忌日。望んだ日のわずか一日遅れで死んだ西行に当時の人々は驚嘆したという。日本人は西行好きで「巨人」「自由人」たる西行を発見すべく、文学、宗教、歴史、地理、民俗、芸能、説話伝承等、ジャンルを超え開かれた『西行学会』が2009年に設立された。




18 雨水【二十四節気】(うすい)

温かさに雪が雨にかわり、氷が溶け始める頃。




23日 天皇誕生日  

昭和35年(1960)に生誕され、65歳になられる。一般参賀が催行されその後、大臣など各界代表者との宴会や外交使節団の長との茶会などが行われる。



25日 道真忌 

東風吹かば 匂い起こせよ 梅の花 主なしとて 春な忘れそ 菅原道真【845~903】   

平安時代の学者・漢詩人・政治家、菅原道真の忌日。策謀により失脚し九州大宰府で詠んだ歌。死後の天変地異は、道真の祟りとして恐れられその怨霊雷神と結びつき、天神として「北野天満宮」を建立し祀(まつ)った。




2月の歌  梅に鶯 

1911(明治44年)
尋常小学唱歌二学年用


歌詞に「籠の中でも鶯が」とあるが、現在は野鳥を飼うことは禁止され、ウグイスも1980年(昭和55年)から禁止。以前はウグイスを捕まえ、鳴き声を楽しんだり、声の美しさを競い合った。「梅に鶯」は美しい声で早春を告げるウグイスと美しい花で春の訪れを知らせるが、詩歌や絵画の題材として、美しく調和する物・仲の良い物のたとえであったことに因る。

日のよくあたる庭前の
垣根の梅が咲いてから
毎朝来ては鶯がかわいい聲で
ホウホケキョウ

鳴くのを聞いて
縁側の籠の中でも 
鶯が 垣根の方を眺めては
調子を合わせて
ホウホケキョウ


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