
冬に着物を楽しみたいけれど、「首元がスースーする」「足先が冷えてつらい」と、寒さから着るのを諦めている方は多いのではないでしょうか。
着物は構造上どうしても隙間ができやすく、防寒対策をしないまま出かけると、せっかくの時間も寒さばかりが気になってしまいます。
本記事では、着物が寒く感じる理由から内側・外側の防寒対策、シーン別の対策まで冬の着物を暖かく快適に過ごすためのポイントを解説します。
ここでは、着物が寒いと感じる理由と防寒対策について解説します。
着物が寒いと感じる理由は、衿元・袖口・裾に開きがある構造にあります。開きから歩くたびに冷気が入り込むため、体温がどんどん奪われてしまいます。
隙間をふさぐだけでも体感温度は大きく変わるので、自分の着物のどこから風が入りやすいか意識してみましょう。
首・手首・足首の三首は太い血管が通る場所なので、温めることで全身を効率よく温められます。
首はショールではなくマフラーを直接巻くとより暖かく、手首はアームウォーマー、足首はレッグウォーマーで冷気を防げます。着膨れも防ぎつつしっかり防寒できるので、寒い日は三首を意識して温めましょう。
着物の防寒対策のコツは、着付け前の内側の仕込みと、着てからの外側の重ね着の2段構えにすることです。
内側は、衿ぐりの深い保温インナーやレギンスを着用し、見えない部分をしっかり保温します。外側は、羽織やコート、ショールなど気温に応じて脱ぎ着できるアイテムを重ねると体温調整がしやすくなります。

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ここでは、着物のインナー・下半身で仕込む寒さ対策について解説します。
保温インナーを選ぶなら、衿ぐりが前後に大きく開いたUネックタイプ(ユニクロのヒートテックなど)がおすすめです。衿ぐりの開きが小さいと、衣紋を抜いたうなじからインナーがのぞいてしまいます。
前後に大きく開いたタイプを選び、それでも見えてしまう場合は前後逆に着ると見た目を気にせず寒さを防げます。
長袖だと着物の袖口からはみ出してしまうので、インナーの袖丈は七分袖から八分袖程度が正解です。
とはいえ、袖口は風が入りやすい部分でもあるので、丈を短くしすぎずしっかりカバーできる長さを選ぶようにしましょう。素材は吸湿発熱タイプを選ぶと汗冷えも防げます。
下半身の防寒対策には、レギンスやスパッツ、和装タイツを履いておくと良いです。
丈は七分丈から八分丈程度にし、着物の裾から見えないように調整しましょう。冷え性の方は、肌側にシルク、その上にウールのレギンスを重ね履きすると保温効果がさらに高まります。2枚仕込んで底冷えに備えてみてください。
礼装時は、洋装インナーよりも和装用の肌襦袢や裾よけを選ぶことがおすすめです。
和装用の防寒インナーは、着物を想定して作られているため、うなじや袖口から見えにくく摩擦の少ない素材で着崩れも防いでくれます。寒さが厳しい日は、保温性の高いタイプを選ぶと重ね着をしなくても暖かさを確保できるので、気温に合わせて防寒性を調整しましょう。
ここでは、首元・衿元の防寒について解説します。
着物の首元が寒い理由は、後ろ衿をうなじから下げて着付けるためです。この着付けを、着物の世界では「衿を抜く」または「衣紋(えもん)を抜く」と呼びます。抜いた分だけ後ろ衿とうなじの間に隙間ができ、そこから冷気が入り込みます。
首は太い血管が通る部分でもあるため、隙間から冷気が入ると体温がどんどん逃げてしまい、全身の体感温度も下がりやすくなります。だからこそ、着物の防寒では首元まわりの対策が大切になります。
大判ストールやショールは、衣紋にふわりと被せるように巻きましょう。きつく巻きすぎると衣紋が潰れて着姿が崩れてしまうため、後ろは低め、前でボリュームを出すイメージで巻くとバランスよく着こなせます。
マフラーを選ぶなら、無地か和風の柄が着物になじみやすくおすすめです。マフラーは首に直接巻けるアイテムで、ショールよりも暖かさを感じやすいことが魅力の一つです。
洋装用のマフラーでも色柄次第で違和感なく使えるため、着物の色や帯とトーンを合わせながら全体のコーディネートを整えましょう。
ファーやティペットを取り入れると、防寒対策をしながら顔まわりを華やかに見せられます。成人式などでは、ファーショールが振袖に合わせる防寒アイテムとして使われることもあります。
ただし、結婚式などフォーマルな場ではファーを避けるのがマナーとされているため、着用するシーンに合わせて素材やデザインを選びましょう。
ここでは、手元・足元の防寒対策について解説します。
手先の防寒には、ロンググローブや手袋を活用しましょう。肘までカバーできるロンググローブなら袖の中に風が入り込むのを防げるため、手元をしっかり暖められます。
素材・デザインは、暖かさ重視ならウールやカシミヤ、華やかに見せたいときはファー付きのハンドウォーマーがおすすめです。レースや革タイプなど上品なデザインもあるので、着物の雰囲気によって好みのものを合わせられます。
足元の保温には、内側がネル素材や裏起毛になった防寒足袋がおすすめです。草履は地面に近く、冷えが直接伝わりやすい履物です。防寒足袋なら見た目は普通の足袋のまま足元をしっかり保温できます。
こはぜの数は4枚が一般的ですが、5枚こはぜなら足首まで長く覆えるため、より冷気が入りにくくなります。足袋インナーを重ね履きすると、足元をさらに暖かくできます。ただし窮屈にならないよう、足袋は普段より0.5cm程度大きめのサイズを選びましょう。
つま先の風を防ぐには、防寒草履や雨除け草履カバーを活用すると良いです。防寒草履は、つま先部分が覆われた形になっているタイプが多く、冷たい風の入り込みを防げます。
雨除け草履カバーは、草履にかぶせて使うことで雨や冷気から足元を守れます。透明タイプなら草履のデザインを損なわずに使えるため、見た目を重視したい場合にも取り入れやすいアイテムです。
カジュアルシーンで足元を暖かくしたいなら、ブーツを合わせたコーディネートがおすすめです。
ブーツを履けば足首まで覆われるため、雪や雨で足元が濡れやすい日や冷え込みの厳しい日でも冷気の侵入を防げます。着物とブーツの組み合わせは、歩きやすさもあり定番コーディネートとして定着していますが、格式を重んじる装いにはそぐわないのでフォーマルな場面では避けましょう。

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ここでは、外側の防寒着について解説します。
羽織は、カーディガンのような感覚で気軽に着られる防寒着で、室内でもそのまま着ていられます。
ウール素材の羽織は特に冬の普段使いに向いており、柄物同士を組み合わせたコーディネートを楽しめることも魅力です。ただし、お茶会など一部の場では脱ぐのがマナーとされているため、場面に応じて脱ぐようにしましょう。
道行コートは、額縁のように仕立てられた四角い衿が特徴の外出用コートです。フォーマルからカジュアルまで幅広く使えますが、あくまで外出用のため室内に入る際は脱ぐのが一般的です。
ただし衿が四角く開いた形のため、首元にはどうしても隙間が残ります。真冬は裏地のある袷仕立てを選んだうえで、ショールやストールを合わせて衿元の冷えを補うと安心です。
外套は、着物の上に着る防寒用のオーバーコートです。一般には、道行コートよりも厚手で防寒性を重視したものを指し、ウールやメルトンなどの生地で仕立てられた角袖コートや、マント型のインバネスコートなどがあります。
着物の袖や帯結びを収められるよう、身頃や袖まわりにゆとりを持たせて作られているものが多く、着物の着付けを大きく崩さずに着脱しやすいことも特徴です。洋服のオーバーコートに近い役割を持ち、寒さの厳しい日や屋外で長時間過ごす際の防寒着として活用できます。
和装用のコートを新調しなくても、手持ちの洋服用のケープやポンチョで代用できます。
袖まわりがゆったりしているため、着物を着ていてもすんなり着脱しやすく、普段着物やカジュアルな装いにも取り入れられるでしょう。
ここでは、シーン別の着物の防寒対策について解説します。
娘の成人式に付き添う母親の場合は、防寒アイテムも格を意識して選ぶことが大切です。例えば、ファーの衿巻やカシミヤ素材のコートなど、高級感のあるものを選ぶようにしましょう。
手袋は革製など落ち着いたデザインを選ぶと着物に合わせやすく、礼装にふさわしい上品な装いになります。
初詣は屋外で長時間待つことも多いため、しっかりとした防寒対策が欠かせません。首元は大判ストールで温め、足元は裏起毛の足袋や足袋カバーで冷えをブロックしましょう。
羽織には、ウール素材の和装コートなどを重ねると参拝の行列に並ぶ際も暖かく過ごせます。また、膝掛けとして使えるショールを一枚持っておくと、休憩時の冷え対策ができるので、寒さが気になる場合は用意しておくと安心です。
正月の街歩きや親戚回りには、着物の下にカイロと保温インナーを仕込んでおくと良いです。
移動が多く、屋外で過ごす時間も長くなりがちなため、羽織やコートだけでは寒さを感じることもあります。着物の内側からしっかり温めておけば、何度も上着を脱ぎ着することなく長時間の外出でも快適に過ごせます。
カイロを使うときは、低温やけどを防ぐために肌へ直接貼らず、肌襦袢や保温インナーの上から貼りましょう。貼る位置は、腰や背中など帯のかからない場所がおすすめです。帯や帯締めで圧迫される部分は熱がこもりやすく、やけどのリスクが高まります。長時間の外出では同じ場所に貼り続けず、ときどき肌の状態を確認してください。
冬の着物は、衿元や袖口、裾などから冷気が入りやすく、普段の洋服とは違った寒さを感じることがあります。快適に過ごすためには、首・手首・足首の三首を温めながら、着物の内側と外側の両方から防寒することがポイントです。
着物の下は衿ぐりの大きく開いた保温インナーを仕込み、足元は防寒足袋や足袋カバーで冷えを防ぎましょう。首元にはにはマフラーやショール、上には羽織やコートなどを重ねると、暖かさを保ちやすくなります。
成人式や初詣、正月の街歩きなど、冬に着物を着る機会はさまざまです。出かける場所に合わせて防寒アイテムを選び、寒さを気にせず冬ならではの着物の装いを楽しみましょう。

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