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—在原業平【825~880】
詞書に「都から東国への旅で寄った三河の八橋の下に流れる沢のかきつばたの美しさに故郷の妻に思いを馳せ、各句の頭文字「かきつばた」を詠み込んだ折句という技法の歌。
春から初夏<4~5月>の一ヶ月間、表参道の根津美術館では庭園の燕子花が一斉に開花する事から、尾形光琳【1658~1716】の国宝《燕子花図屏風》を展示します。尾形光琳は京都の高級呉服商に生まれ、文様と色に囲まれ育ったことで、発色の良い絵具で東洋美術の伝統色「青、緑、金(黄)」を用い、煌びやかで鮮烈な色彩感で江戸の美意識を描き出しています。穏やかな5月の日和に色彩豊かな和服などを身に纏い、花々の中に身を置いてみる素敵な一刻などを演出してみたいものです。
5月は早月、皐月、 皐とも。皐は「気が澄み渡る」の意。
世界各地で行われる労働者の祭典。1886年(明治19年)に米・シカゴの労働者のストライキが始まり、本来は、ヨーロッパの伝統的な祝祭「五月祭」日本では1920年(大正9年)から行われている。
立春から、八十八日目。遅霜の時期。一番茶摘みの頃。夏も近づく。
きらきらと 八十八夜の 雨墓に 石田波郷【1913~1969】
1947年(昭和22年)に日本国憲法が施行。改憲を望む声もあるが、平和憲法を高く評価する人も多く、改憲派、護憲派のそれぞれが集会などを開き、主張をアピールする。
自然に親しむとともにその恩恵に感謝し豊かな心をはぐくむ。
「言葉の錬金術師・アングラ演劇四天王・昭和の啄木」の異名を持つ寺山修司【1935~1983】の忌日。井伏鱒二訳の漢詩「勧酒」の一節「花に嵐のたとえもあるぞさよならだけが人生だ」の引用と言われる「さよならだけが人生ならばまた来る春はなんだろう」は有名。第一作品集『われに五月を』他。劇団『天井桟敷』を横尾忠則等と結成、美輪明宏主演「毛皮のマリー」を上演。『書を捨てよ町へ出よう』は当時の若者の心情 を捉え鼓舞した惹句。五月上旬、生誕地青森県三沢市で「記念館フェスティバル春」開催予定。
花活けて立夏の卓に飾りけり 稲畑汀子【1931~2022】
端午の節供、五節供の一。端午の端は初めを表す言葉で月初めの午(うま)の日。江戸時代以降は「菖蒲=尚武の節句」とされ、「男子の祭」として祝われた。魔物を追い払う菖蒲を風呂に入れる。鯉幟(こいのぼり)は男子誕生の際、幟や旗(吹き流し)などを掲げて祝ったのが始まりで「滝を登り切った鯉は竜になる」という故事に因む。
浅草神社の氏子を中心に5月の第三土曜日を中心に行われる。
神田祭 「天下祭」としられ、今年は陰祭で17日~18日に催行。 狂歌に「神輿深川(深川祭)山車神田(神田祭)、だだっぴろいは山王様(山王祭)」に江戸三大祭は、深川祭(六月)を外して、三社祭を入れる場合も。
稲に穂がつく頃 (少し満足)するの意。万物盈満・草木枝葉繁る。
詞 佐々木信綱【1872~1963】
曲 小山作之助【1864~1927】
明治29年(1896)年の初夏五月完成。佐佐木は「万葉集」研究の国文学者、歌人、名著・岩波文庫「新訓萬葉集」の編者。小山は音楽取り調べ係。詞は古語が多く「卯の花・ホトトギス・五月雨・早乙女、橘、蛍、楝(おうち)水鶏(くいな)」など初夏の風物詩が詠み込まれている。 楝(おうち)は、夏の花センダンの古名。楝は襲(かさね)色目の名で表は薄紫、裏は青。初夏の唐衣の襟や裾に取り 入られた。 2015年開業の北陸新幹線の上越妙高駅で発車メロディ。
1.卯の花の 匂う垣根に
時鳥(ホトトギス) 早も来鳴きて
忍音(しのびね)もらす 夏は来ぬ
2.さみだれの そそぐ山田に
早乙女が 裳裾(もすそ)ぬらして
玉苗(たまなえ)植うる 夏は来ぬ
3.橘(タチバナ)の 薫る軒端(のきば)の
窓近く 蛍飛びかい
おこたり諌(いさ)むる 夏は来ぬ
4.楝(おうち)ちる 川べの宿の
門(かど)遠く 水鶏(クイナ)声して
夕月すずしき 夏は来ぬ
5.五月(さつき)やみ 蛍飛びかい
水鶏(クイナ)鳴き 卯の花咲きて
早苗(さなえ)植えわたす 夏は来ぬ
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