彩・きもの通信

知識を深める

彩の歳時記 令和8年6月

公開日:2026.05.28

またひとしきり午前の雨が 菖蒲のいろのみどりいろ

眼(まなこ)うるめる面長き女 たちあらわれて消えてゆく

たちあらわれて消えゆけば うれいに沈み しとしとと
畠の上に落ちている はてしもしれず落ちている

お太鼓叩いて 笛吹いて あどけない子が 日曜日
 畳の上で 遊びます

お太鼓叩いて 笛吹いて 遊んでいれば 雨が降る
櫺子の外に 雨が降る



中原中也【1907-1937】の詩「六月の雨」。梅雨になると特に味わいたくなる人気の高い詩です。4・4・3・3構成のソネット(十四行詩)。前半に現れる女は、かつての恋人、長谷川泰子。後半の子どもは、当時一歳半の長男・文也。幻から現実へと急転換する二つの世界を行き来する心の動きを果てしないが繋いでいるかのようです。

六月の言えば「雨」、梅の実が熟す「梅雨」、鬱陶しいと感じますが、半年が過ぎようとするこの時期、ちょっと立ち止まり、経た日々を思い、夏を爽やかに乗り切る心の準備をしたいもの。心模様によって、いろいろな名前を持つ「雨」は、万葉集に百首も詠まれ、現代にいたるまで歌の素材として抒情的に暮らしを色づけ、感情を託したくなります。雨の日こそ外に出てみては。



6月の暦

水無月(み な つき)無」は「の」と読むので「水の月」。田に水を張る月水張(みずはり)(づき)


1日 衣替え

日本特有の習慣。平安時代宮中が始まり。明治期に制服制度化。 空調の発達で形骸化しているが、「きもの」衣替えは伝統を重んじ、「袷」から「単衣」に替り、文様・柄(菖蒲など)も季節感を醸し出している。


6日  芒種(ぼうしゅ)【二十四節気】

(のぎ)(コメ、ムギなどの先端にある棘状の突起)の種を蒔く時期






6日 お稽古の日・邦楽の日,楽器の日

六歳の6月6日から始めると上達すると言う伝承に因る。



11日 入梅【雑節】

暦の上で梅雨入り。「入梅いわし 生姜たつぷり 炊き上ぐる」大澤美智子



19日 桜桃忌(おうとうき) 

今も多く詠まれる小説家、太宰治【1909~1948】の忌日。戦争未亡人の愛人と玉川に入水心中したのは6月13日、6日後の19日に発見され、たまたま19日が誕生日だった事と晩年の作品「桜桃」に因む。津軽の生家(現・斜陽館)は記念館[重要文化財〕として現存。

東京帝大仏文科中退。『走れメロス』『津軽』『斜陽』『人間失格』など。その作風は「孤独感、承認欲求、他者との比較」といった「現代に通じるテーマ」の先取りとも 言えることから、又吉直樹、小泉今日子、佐藤江梨子、太田光など著名人ファンも多い。

マッチ擦るつかのまの海に霧ふかし身捨つるほどの祖国ありや




21日 父の日〔第三日曜日〕

アメリカの女性が、男手一つで育ててくれた父親への感謝を「母の日があって父の日が無いのはおかしい」と『牧師協会』へ嘆願し、父の誕生月だった六月に。 1972年、当時のニクソン米大統領が「六月の第三日曜」にと宣言、正式な祝日に。

打たれたるわれより深く傷つきて父がどこかに出かけて行きぬ 道浦母都子【1944-】




22日 夏至(げし)【二十四節気】(せっく)

夏に至る。

のびきつて夏至に逢ふたる葵かな  子規




24日 林檎忌

平成元年、昭和の終わりに逝去した美空ひばり【19371988】の忌日。
『りんご追分』に因む。昭和を代表する歌手。1989年、女性初の国民栄誉賞。今年「芸能活80周年記念~美空ひばり生誕の地「杉劇ひばりの日」を横浜の杉田劇場で。開催。長年親交が深かったタレントの渡辺友子氏がひばりとの思い出のエピソードを語る。

打たれたるわれより深く傷つきて父がどこかに出かけて行きぬ 道浦母都子【1944-】

30日 夏越(なごし)(はらえ)

12月6月の晦日(みそか)に行なわれ、平安時代から続く行事。疫病除を祈願。「茅の輪くぐり」など京都の上賀茂神社が有名。


6月の歌  

五月のバラ

雨音はショパンの調べ    日本語詞 松任谷由美 【1954-】

伊の男性歌手・ガゼボ【1960-】の1983年の「アイ・ライク・ショパン」 I Like Chopinの日本語カバー曲のタイトル。原曲は世界的なヒットを みた。歌唱した小林麻美『1953-』は資生堂CMモデルに起用され 「マイ・ピュア・レディ」のヒット曲を持つが、結婚を機に引退、夫は元 スパイダースのリーダーで田辺エージェンシー会長の田邊昭知『1938-』。

耳をふさぐ 指をくぐり 心 痺らす 甘い調べ  
止めて あのショパン 彼にはもう会えないの
Rainy days 断ち切れず 窓を叩かないで
Rainy day気休めは麻薬 Ah

後略 



彩の歳時記 2026年5月

「彩の歳時記」アーカイブス


・-トップページに戻る―・

SHARE
前のページ
0120-073-005
(平日9:00~20:30 / 土曜日9:00~17:30)
無料受講お申込み
お問い合わせ
資料請求
無料受講お申込み
各校一覧
TEL