彩・きもの通信

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彩の歳時記 令和5年3月

2023.03.01

花にまがへて散る雪に 少し春ある心地こそすれ花さそふ嵐の庭の雪ならで ふりゆくものは わが身なりけり

入道前太政大臣(1171〜1244)

「桜の花を誘って吹き散らす嵐の日の庭は、花びらが雪のように降っているが、実は老いさらばえて古りゆくのは私自身なのだな」



「ふりゆく」は桜の花弁が「降りゆく」のと自身が「古りゆく(老いてゆく)」との掛詞。作者の入道「別名・藤原公経・西園寺公経」は承久の乱で鎌倉幕府に内通し、乱後は栄進するなど処世術に長け、鎌倉幕府に追従、保身、我欲の奸臣とも言われた人。家名「西園寺」は金閣寺辺りに西園寺を建立したことに因る。明治の政治家で伊藤博文のブレーンから内閣総理大臣となった西園寺公望【1849~1940】は子孫。は散るからこそ美しい。その死生観・無常心は日本人特有のものかもしれませんね。

月の暦

(弥生(やよい)())

弥生(いやおい)が変化。()は「いよいよ・ますます」(おい)は「生い茂る(お  しげ  )」の意。

2日 お水送り

「若狭路に春を呼ぶ」行事福井県小浜神宮寺の若狭鵜の瀬から邪気払った香水を遠敷川に流し、10日かけて奈良東大寺二月堂の「若狭井」に届ける。


 雛祭(ひなまつり)(桃の節句(せっく)上巳(じょうし)の節句)

旧暦三月の最初の巳の日で五節句の一つ。桃の花咲く時期。古代中国伝来で巳(へび)が脱皮して生まれ変わるように穢れを祓い清める。平安時代の流し雛に穢れを身代わりしてもらい流すことから雛を祭る「雛祭」に。男雛(おびな)を「内裏(だいり様」女雛(めびな)を「お雛様」三人官女以下を「共(とも)揃い」という。

春の苑 紅にほふ桃の花 下照る道に 出立つをとめ   大伴家持

6日 啓蟄(けいちつ)【二十四節気】

(ちっ)(ちゅう)(冬ごもりの虫)がはい出る。蟄居(ちっきょ)はこれに由来。


8日 国際婦人デー

1904年、ニューヨークの女性労働者が参政権を求めて集会を開いた日。2023年のテーマは「デジタルジェンダーギャップが経済的および社会的不平等の拡大に与える影響を調査しよう」



10日 東京都平和の日[東京大空襲の日]

昭和20年(1945)10万人の犠牲者は第二次大戦最高の被害。78年の歳月を経て、被災者の老齢化の中、戦争を語り継ぐ努力が必要な時期に。


11日 東日本大震災の日

2011年(平成23年)に発生した日本の観測史上最大の地震。津波により2万2312名の死者・行方不明者をだした。震災が引き金となり福島第一原子力発電所がメルトダウンし、チェルノブイリ原発事故と同じINESレベル7の重大事故が発生した。現在、廃炉の途上にあるが使用済み核燃料の除去を要するため見通しが立っていない。

          

2日 お水取り 東大寺二月堂 修二会

正式には修二月会、春の訪れを告げる年中行事。

奈良時代から1270年間、一度も途絶えることなく、コロナ禍の中も一部制限されながらも中止せず続いている。十二日の夜、籠松明(かごたいまつ)を持った僧たちが本堂の回廊を駆け抜け、その火の粉を浴びると除災になると言われる。薬師寺の修二会は「花会式」。

14日 ホワイトデー

1978年、菓子業界発のバレンタインデーのアンサーデー。


18日 彼岸の入り【雑節】

この日を含めた七日間彼岸の期間。春「ぼたもち」秋「おはぎ」は同じもので「牡丹と萩」に由来。


21日 春分の日【二十四節気】

太陽が真東から昇り、真西に沈み、昼夜がほぼ等しくなる。花冷えや寒の戻りがあるので体調管理はしっかりと・・・。


26日 桜始め咲く【雑節】

温暖化現象で早くなりつつある。今年は?


3月の歌 赤いスイートピー』 

詞 松本隆【1949ー】 
曲 呉田軽穂(松任谷由実)【1954―

1982年リリース。歌唱の松田聖子【1962―】の楽曲中、人気が高く、この曲で同性のファンが増えた。スイートピーはイタリアのシチリア島原産の一年草で日本では観賞用だが有毒植物。松任谷由実は2022年デビュー50周年を迎え、50公演50万人動員の全国ツアーが予定されている。六本木ヒルズの展望台 東京シティで「ユーミン・ミュージアム」が二月末まで開催されている

 

春色の汽車に乗って
海に連れて行ってよ
タバコの匂いのシャツに
そっと寄り添うから
何故知り合った日から
半年過ぎてもあなたって
手も握らない
I will follow you
あなたについてゆきたい
I will follow you
ちょっぴり気が弱いけど
素敵な人だから  後略


彩の歳時記 2022年2月

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